妊娠とカルシウム

1.受胎はカルシウムによって完成する
2.恐ろしい妊娠合併症はカルシウム不足から
3.胎児は母胎のカルシウムを奪って育つ
4.安産のための骨盤の形式と維持にもカルシウム
5.カルシウムが不足すると規則正しい陣痛が起こらない
6.授乳と産後の回復のためには倍のカルシウムを

1.受胎はカルシウムによって完成する
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受胎イメージ個体の生命の始まりは精子と卵子の出会い、即ち動く小さな精子が、静止している卵子と結合することです。そのとき最初に必要とするものは何でしょうか。それはカルシウムです。精子が成熟し、運動が充分できるために、又卵子に到達して充分に情報を伝えることが出来る事もカルシウムが必要です。

精子の周囲には、他の細胞と同じように一万倍という非常に濃度の高いカルシウムがありますが、このように大きな濃度差があるからこそ、細胞は外部からの信号を受けることが出来、活動を始めることができるのです。もしカルシウムの摂り方が少ないと、この濃度差を保てなくなり、精子の動きが鈍くなってきます。受胎は一万分の一の濃度差のカルシウムをもつ精子が卵子に入ることによって、卵子の中にメッセンジャーとしてのカルシウムが流れ込むという現象です。従って卵子についても、細胞の外と中とで充分カルシウムの濃度差がないと精子を受け入れる事が出来ず、受精は起こりません。

生命誕生の最初がカルシウムによる刺激であることは、カルシウムが生命の炎である何よりの証拠です。夫婦のどちらかが、カルシウムの取り方が少ないと精子や卵子の働きが鈍くなり、不妊症になる事が充分に考えられますし、健康で知能的にも優秀な子供をつくる事は出来ません。


2.恐ろしい妊娠合併症はカルシウム不足から
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妊婦さんイメージせっかく受胎が成立し、妊娠しても、10ヶ月の妊娠期間を無事に過ごすことはなかなか難しい事です。初めの頃はつわりに苦しみ、これが激しくなると妊娠中毒症や妊娠腎、もっとも重症の場合は、子癇といって高血圧、腎臓の障害、痙攣を起こし、命を落とす事もあります。

ところが、このような妊娠の合併症は、充分カルシウムを取っていないこと、つまり栄養上のカルシウムの不足によって起こることが最近明らかになってきました。つまり赤ちゃんの骨をつくるために、母胎ではカルシウムがたくさん必要になりますから、普通に食事をするだけではカルシウムが不足になり、不足分のカルシウムを補うため骨からカルシウムが出て、血管や腎臓にたまる結果、高血圧や腎不全などの恐ろしい妊娠の合併症が起こるのです。カルシウムを充分に摂れば妊娠中毒症や子癇も予防する事が出来るのです。



3.胎児は母体のカルシウムを奪って育つ
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昔から、妊娠したらカルシウムを沢山摂らなければいけない事はよく知られていますが、この事は赤ちゃんの骨のカルシウムが全部お母さんから来ることを考えれば当然のことです。3.5kgの赤ちゃんの骨には、少なくとも50gのカルシウムが入っていますから、赤ちゃんはこれだけのカルシウムをお母さんからもらわなければなりません。

一日のカルシウムの摂取量はせいぜい700mgですから、お母さんは赤ちゃんの骨をつくるために、70日間、即ち2ヶ月余りの間に食べたカルシウムをすべてつぎ込まなければならないわけで、その量だけ余計に摂らないと2ヶ月余りの間、お母さんのカルシウムはゼロという事になってしまいます。

これは妊娠期間の約1/5強に当たりますので、毎日のカルシウムの量に換算すると、約20%余計にカルシウムを摂って奄゚て何とか収支が釣り合う事になります。もしカルシウムの摂り方を増やさなければ、お母さんの骨から1/5以上もカルシウムが減ってしまうのです。
このようにして、大事にお腹の中で育てた赤ちゃんが、いよいよ産まれるときはどうでしょうか。
  1日のカルシウム所要量
乳児期 500 mg
成長期 500 〜 900 mg
成 人 600 mg
老 人 800 〜 1,000 mg
骨イメージ妊娠期 1,000 mg
授乳期 1,100 mg


4.安産のための骨盤の形式と維持にもカルシウム
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いくら子宮が赤ちゃんを充分に育て、分娩の時に赤ちゃんと胎盤を押し出そうとしても、骨盤の形がしっかりしていないと、安産は望めません。

骨をしっかり保ち、骨盤の形を変えないようにして、産道を赤ちゃんが通れるように維持するのももちろんカルシウムの働きです。又、カルシウムの働きを陰で支えているのが、エストロゲンという女性ホルモンです。このホルモンは、子宮と卵巣を成熟させて受胎に備え、又妊娠を無事続けさせる役目をしますが、もう一つ大切なのは、骨からカルシウムが溶け出すのを防ぐ働きです。

前に説明したように、妊娠中はどうしてもカルシウムが不足しがちであり、不足分を補うためにやむなく骨のカルシウムを溶かして間に合わせることになります。その時エストロゲンは、しっかり働いてカルシウムの支出を切り詰め、骨量を失わないようにしているのです。


5.カルシウムが不足すると規則正しい陣痛が起こらない
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陣痛は、子宮の筋肉が縮んで赤ちゃんと胎盤を押し出す、分娩の中で最も大切な自然の摂理です。この子宮の筋肉は平滑筋といって、腕や足の筋肉と違って、自分の意志で動かすことは出来ませんが、その縮む時の仕掛けは全く同じことで、カルシウムが筋肉の細胞の中に入ることが信号になるのです。

陣痛が強く規則正しく起こらなければ安産は出来ません。カルシウムが細胞の外に充分にあって、信号として子宮の筋肉の中に入る時、これがはっきりと感じられなければ、充分な子宮の収縮即ち陣痛が起こりません。カルシウムはこのように新しい生命がこの世に誕生する時も、生命の源として働いているのです。


6.授乳と産後の回復のためには倍のカルシウムを
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赤ちゃんが生まれると、次のお母さんの大きな仕事は授乳です。母乳の中には、牛乳や人工乳に比べてカルシウムは比較的少ししか含まれていませんが、腸からの吸収がよく無駄がありません。体重の非常に軽い早産の未熟児では、母乳だけではカルシウムが充分に与えられませんが、普通の赤ちゃんには母乳がやはり一番です。

お母さんがお乳を与えるためには、沢山のカルシウムが必要であることはいうまでもありません。授乳する女の人では、普通の時の2倍ものカルシウムが必要だといわれています。出産という大きい事を完成した後に、母体としてもかなりの消耗があることは想像出来ます。前にも述べたようにお母さんは赤ちゃんのために2ヶ月以上の間に食べたカルシウムをすべてつぎ込まなければならないわけで、お母さんは自分の体のためにもより多くのカルシウムを摂る必要があります。


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